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人との出会いが活動の原動力に/NPO法人 メイクハッピー&ピース代表 仲西 浩一さん

ボランティア活動から学んだもの

仲西さんがボランティア活動をはじめたきっかけを教えてください。

仲西さん:
大学2年生の時、宗像市で開催された夜回り先生(水谷修先生)の講演会を聴きに行ったんです。その講演会には地域の中学生や高校生、大学生が実行委員としてたくさん関わっていました。その輪の中に入ったことが最初の一歩でしたね。

その講演会を企画運営していたのが「むなかた市民大学ゆめおり(以下、ゆめおり)」という市民活動団体でした。ゆめおりは、生涯学習の推進を目的に講演会の開催など市民が交流する場をつくる活動をしていて、私も学生ボランティアとして関わるようになりました。

当時私は福岡教育大学の学生だったのですが、生涯学習やボランティアの分野で幅広く活躍されていた井上豊久先生(前福岡教育大学教授)との出会いも大きかったですね。

井上先生はゆめおりの副学長もされていて、先生のゼミ生になってからは、授業の一貫としてゆめおりの活動に関わるようになりました。数多くの講演会の企画運営に携わり学んだ経験は、私の活動の道しるべになりました。

カンボジアでの出会いから団体の立ち上げへ

団体の立ち上げ当初は、国際協力事業をメインにされていたんですね。

仲西さん:
はい。大学生の時に友達と海外に行こうって話になって。その時に行った国の一つがカンボジアでした。そこで、学校に行けない子どもたち、明日生きていけるかわからない子どもたちと出会いました。

自分にとって当たり前だと思っていたことが当たり前じゃない。大学生の私には衝撃で。私たちはすごく恵まれている環境にいるんだということを改めて実感しました。

学校に行けなくても、カンボジアの子どもたちはみんな将来の夢を持ってて。貧しいはずなのにすごく輝いて見えたんです。この子たちのために「何か自分にできることはないだろうか」という想いが芽生え、市民活動団体「メイクハッピー&ピース」を立ち上げました。

カンボジアの子どもたちとの出会いが、仲西さんを突き動かしたということですね。

仲西さん:
そうですね。発展途上国などの経済的に弱い立場にいる人たちの現状を知ってほしいという想いがあったので、当時は、カンボジアに行って現地の暮らしを見たり、現地の人々が作ったものを購入し、地域のお祭りで販売していました。

団体立ち上げの頃は、ゆめおりの時に出会った仲間に声をかけて手伝ってもらうなど、人と人とのつながりに助けてもらいながら活動していたので、団体といえば団体だし、個人で何か活動している人といえばそうだし。そんな感じのスタートでした。

子どもたちのこころと学びをサポート

団体を立ち上げた翌年から教育活動がスタートしたんですね。

仲西さん:
団体を立ち上げて1年、今後の団体活動をどうしていくか模索していた時ですね。友達の1人が宗像で農業をしていたこともあって、農業体験はどうだろうって。

そこで始めたのが、自然や農業体験などを通して”いのち”を学ぶプログラム「いのちかがやくプロジェクト」です。ゆめおりの時に出会った仲間に声をかけて活動していましたね。

2013年からは子どもたち一人ひとりに寄り添った学びの場「学習サポート」を始められていますね。きっかけは何だったのでしょうか?

仲西さん:
これは、「いのちかがやくプロジェクト」の参加者の中に学校の授業についていけない子がいて、学習をみてもらえないかと相談を受けました。

また、仲間の中に障がいのあるお子さんを持たれている方がいて。学校には行ってるけど、なかなか授業についていけない、お友達とうまくいかない、不登校になっている。

そんな子どもたちが学校以外で学べる場所って大事だよね、という話になって。一緒に「学習サポート」を始めることにしました。

「学習サポート」と2017年から開始した「放課後等デイサービス ピース」の違いは?

仲西さん:
「放課後等デイサービス」は福祉サービスのため、診断書や発達検査を受け、市へ申請するなどし、さまざまな手続きを乗り越えて受給者証を発行された子どもたちが利用できるサービスなんです。

「じゃあ、学校に行けない不登校の子は?」ってなると受け入れることができない。だから、僕は両方必要だと考えています。「学習サポート」と「放課後等デイサービス ピース」両方あってひとつ、そういう認識ですね。

団体活動の大きな力

子どもたちを1対1で手厚くサポートするために、たくさんの大学生がボランティアに来られているそうですね。

仲西さん:
はい。法人全体での登録は100人以上で、実際に来てくれている学生さんたちは60人くらいいますね。

大学卒業後、教員になる人も多いので、ここで子どもたちと関わった経験や学びは現場に出た時にきっと役に立つと思います。卒業して教員に進んだ人からは、ボランティアをして良かったという言葉もきけます。

大学生の存在は、団体活動の大きな力になっているんですね。

仲西さん:
一般的に放課後等デイサービスは、子ども10人に対して3〜4人の職員さんが付きます。ボランティアの力がないと、なかなか一人ひとりに手厚くというのは難しくなる。

私たちは一人ひとりに寄り添った発達支援をしようと考え、大学生にボランティアスタッフとして参加してもらう仕組みで行っています。NPOならではの仕組みだと考えています。

大学生のボランティアの様子を教えてください。

仲西さん:
大学生のみなさんは情熱がものすごくあって、一人ひとりに一生懸命寄り添ってくれますね。謝金と交通費はお渡ししていますがアルバイトとは違いますので、想いを持って関わりたい、学びたいという人たちが来てくれています。

最近はコロナの影響でできませんが、サポートが終わった後にみんなで夕飯を食べたり、お話ししたりもしていました。大学生にとっても自宅や学校以外の地域での居場所になっています。

数々の出会いが活動の原動力に

10年以上にわたって子どもたちをサポートする活動を続けて来られたのはなぜだと思いますか?

仲西さん:
数々の出会いの中で困っている人に出会い、そして自分にできる役割があって。「これだったらできるかな」って、そういう想いの積み重ねです。

自分の活動が誰かの役に立つ、喜んでもらえる。それが原動力になって次の活動につながってきたんだと思います。

それと、大学3年生の時にボランティアとして参加した「日本の次世代リーダー養成塾」での経験も影響していると思います。全国の高校生が集まり学び合うサマースクールで、私たちボランティアは高校生をサポートする役割でした。

高校生っていろんな夢を持っているんです。そんな高校生と交流し、さまざまな講師の方の話を聴くことで、「限界は自分の中で勝手に決めてしまっているもの」「自分の殻を破るのは自分しかいないんだ」ということに気付くことができました。

これまでの団体活動で大変なことは多々ありましたが、乗り越えて来られたのは、これまでの出会いと経験があったからだと感じています。

たくさんの人々との出会いが仲西さんの人生に大きな影響を与え、そして今の活動につながっているということですね。

仲西さん:
はい。ゆめおりでの出会い、カンボジアでの出会い、リーダー養成塾での出会い、団体活動を通しての出会い……。数々の出会いの中で学びがあって、自分自身も成長していきながら、今の自分につながっているんだと思います。

2021年3月には、必要とする子どもたちが利用できるように、もう一ヶ所放課後等デイサービスの事業所(放課後等デイサービス ピースセカンド)を開設予定です。できることから、少しずつこの先も取り組んでいきます。

プロフィール

兵庫県明石市出身。大学院生の時に宗像市で市民活動団体「メイクハッピー&ピース」を立ち上げる。2013年より子どもたちのこころと学びを支援する「学習サポート」を開始。2017年にNPO法人化し、「放課後等デイサービス ピース」を開設。福岡教育大学などの学生をボランティアスタッフとして迎え、子どもたち一人ひとりに寄り添った発達のサポートを行っている。

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